この記事では、会社の労務担当者の方、弁護士、特定社労士等でこれから労働相談を取り扱う予定の方などがそれなりにしっかり労働法を勉強しようというときに読むべきおすすめ本、資料をご紹介しております。今回は労働契約法、労働基準法といった基礎的法律中心で、社会保険などについては、別途取扱います。
新労働事件実務マニュアル
とりあえず部署に1冊というなら新労働事件実務マニュアルです。たいていの範囲を扱っており、調べたいことが生じたときはまず真っ先にこれにあたることができます。
おすすめポイント
- 論点をほぼ網羅しており、最新の法改正にも対応
- 引用裁判例が豊富でとりあえずあたりをつけるのに便利
- 実務上扱う書式が豊富、ウェブからのダウンロードも可能(会員登録が必要)
労働事件審理ノート
だいぶ古いですが裁判官の書いた実務本で労働訴訟に関しては最も権威があると思われる実務本です。ずいぶん前の話ですが、私が司法修習の際に労働専門部で修習したときも裁判官からまずこれを読めと指導されました。
おすすめポイント
- 裁判官が書いている
- 薄くて一通りすぐ読める
- 要件事実がまとめられている
- 訴状モデルが掲載
薄いので、すぐに読めてしまいますが、労働訴訟のエッセンスが詰まっています。
労働関係訴訟の実務
裁判官が実務上重要な多数の論点について、解説している実務本です。労働事件審理ノートよりも、深く検討したいときに有効です。労働者側、使用者側それぞれの側から訴訟での主張・立証のポイントが記載されています。
おすすめポイント
- 論点の解説が豊富
- 労働者側、使用者側からのそれぞれの主張・立証ポイントが解説されている
- 裁判官が書いている
菅野先生の労働法
学者の基本書ですが最も利用されている実務本だと思われます。裁判官、弁護士も基本的には菅野先生の基本書を参照しています。
何かあったときは「菅野先生の本に書いてあった。」ということがしばしばいわれるほどです。
おすすめポイント
- 定番の基本書
- 法曹実務家がほぼ全員参照している
- 論点が網羅されている
土田先生の労働法概説
とりあえず薄い基本書を1冊ということであれば、土田先生の労働法概説が分かりやすくておすすめです。分厚い労働契約法も個人的にはかゆいところに手が届く記載が豊富でおすすめです。
おすすめポイント
- 初学者にも分かりやすい
- 薄くて何度も読み直せる
労働判例百選
労働法は事案の事実関係が非常に重要になってくるので、判例の勉強が重要になってきます。地裁の判例学習が多いのもこの労働法分野の特徴です。労働法の判例雑誌は労働判例(労判)が定番ですが、まずは百銭で重要判例をつぶしておくのがよいでしょう。
厚労省のサイト
おそらく莫大な費用が投下されているであろう厚労省のサイトにアップされているの労働分野の解説資料は実務上大変参考になります。
特に法改正の直後などは貴重な資料になり、改正直後に出ているピンポイントな実務本はかなりの割合で、厚労省の資料のコピペ本です。